伊豆急8000系の記録 その2



さて、少し間が空いてしまいましたが、前回の続きです。



こちらが今回の旅の主役、8000系のTB7編成!
無塗装編成の中でも特に団体列車に抜擢される機会が多い、
伊豆急8000系の中でも看板編成です。


そもそも、今回の団体列車は鉄道ファン向けのものではないため、
事前に何の車両を使うかの告知はありませんでした。

8000系を夢中になって撮影しているときに主催者の方とお話する機会があり、
主催者の方も、参加者に8000系大好き人間(笑)が紛れているとは思っていなかったようで、
8000系を選んでよかったです!とおっしゃっていました(笑)


伊豆高原駅の集合場所に向かうと、マスコットキャラクターが歓迎してくれました。


㈱東急パワーサプライの「てるまる」(左)と伊豆急の「いずきゅん」(右)


記念撮影タイムです(笑)

受付のタイミングで、乗車する号車を指定されるのですが、
私が乗車したのはモハ8252で、なんと現役の8000系で唯一の大井町簡易更新車でした!







かなり大工事である東横線の更新車に対して、更新のメニューが軽いのが特徴です。

8000系に比べ更新コストの削減が図られた8500系と比較しても、袖仕切りの交換が行われていなかったり、
座席モケットがバケット式になっていなかったりと、当時近い将来の廃車を見越していたことが伺えます。

化粧板模様は8500系の更新車と同様のものになっているのもポイントの一つです。

なめまわすように細部の観察をしていると、気づけば伊豆高原駅を発車していました。
伊豆急線内の土日は日中でも混雑している印象があるので、
ゆとりのある車内で8000系の走行音を楽しめるのは大変貴重な機会でした。

普段普通列車の運用にしか就かない8000系が、次々と途中駅を通過していきます。





「団体 懐かしの東急8000系で行く金目鯛を食す旅!」オリジナル行先

時間調整のため片瀬白田駅で長時間停車です。
無装飾のステンレス電車が青空に映えます。

片瀬白田駅~伊豆稲取駅の海岸線区間では、列車を停止して海を一望させてくれるサプライズもありました。


伊豆高原出発から約1時間、あっという間に往路終点の伊豆急下田駅に到着しました。

プラットホームのタイル張り舗装や上屋の雰囲気が、かつての東急線を思わせてくれました。


降車完了後の様子。細かいところに目をつぶれば、幼少期にタイムスリップした気分です!

往路到着から復路出発までの間はフリータイムで、食事券と任意参加の撮影会が用意されました。
もちろん撮影会に参加しましたが、やはり鉄道ファン向けのツアーではないこともあり、
数人で8000系を独占できました(笑)

伊豆急の担当の方も、ここまで贅沢な撮影会はなかなか無いとおっしゃっていたので、
本当に貴重な機会だったと思います。


「53運行 急行 渋谷」

前面幕や運行番号の指定もできるなど、ここまでしてもらって良いのか、というすばらしい撮影会でした。
現場は30℃超えの炎天下でしたが、暑さを忘れて夢中になってシャッターを切りました。



撮影会の後、下田港でおいしい金目鯛の煮付け定食をいただきました。
撮影会が非常に盛り上がったため、下田の街をぶらぶらする時間はあまりありませんでした(笑)



集合時間になると、再びTB7編成がお出迎えです。
伊豆急下田駅は駅構内から直接留置線に車両を移動することができないため、
往路到着から復路出発までに、隣の蓮台寺駅までの間を2往復していたようです。

御覧のような東急8000系帝国も数年後には見納めになるかも知れません。記録はお早めに…


往路車内は、伊豆をたっぷり満喫してうたたねをしている団体客が多くみられましたが、
8000系の乗車・記録がメインターゲットである私は眠っている暇もなく、車内の撮影や走行音の記録を楽しみました(笑)



途中の伊豆稲取駅で列車交換。対向電の8000系に期待しましたが、3000系でした。

派手な塗装でJRの頃よりも垢ぬけたイメージのある3000系…でも、伊豆急ハワイアンブルーも似合うと思いますよ。



東急車輛の青銘板も、最近はすっかり見かける機会が少なくなってきてしまいました。
都内まで乗り入れてくる車両だと、京成3500形が最後の存在でしょうか。以前たまたま京成線に乗った時にこのデザインの銘板を見かけて嬉しくなりました。
こちらは一般的な更新車のものです。



一方でこちらが大井町線更新車のものです。化粧板の模様の違いがよく判ると思います。
また、先ほどの昭和45年製のものと比べると、輌の「両」の形が違うように見えます。

そんなこんなで、往路もあっという間に過ぎてしまい、ツアーの終点、伊豆高原駅に戻ってきました。



終点では上り列車に就くTA7編成と顔合わせ!ツアーの最後にいいものを見せてもらいました…と思っていると…



出発前に遭遇したTB4編成が下り列車として入線。なんと無塗装の8000系全編成が並ぶというサプライズがありました!


さて、ツアーはここで終了ですが、8000系の乗車は熱海駅まで堪能します。
やってきたのはTA7編成+TA2編成の普通熱海行き。
まずは、行きにも遭遇したTA7編成に乗車しました。時間もあまりないので、乗車しながら車内の写真を中心に撮影していました。



行きに混雑で撮影を断念したモハ8152の車内銘板です。前回紹介の通り元デハ8723であり、
狭義の8000系には存在しない昭和51年製になります。
この時期の車内銘板はオレンジ地に独特なフォントのスタイルです。
8500系の更新車のため、先ほどのモハ8252と同じ化粧板です。





本家東急の8000系ではかなり前に見られなくなった、旧タイプの扇風機カバー(上写真)も相当数残っていました。
同じ車両の中に混在しており、網が少ない旧タイプを特別扱いしているわけではないようです。


途中の伊東駅で停車時間があったので、今回初遭遇のTA2編成に乗車位置を移しました。
目当ては未更新のモハ8157です(笑)





やはりこの車内が一番安心します…



昭和53年製造分からの車内銘板は、オレンジ地に行書体スタイルです。
未更新車の化粧板は柄のない薄いピンク一色で、更新車とは車内の雰囲気がガラリと変わります。


終点の熱海駅に到着し、ほぼ丸一日の8000系の乗車も終わりです。
最後にモハ8151で押さえておかなくてはならないポイントを一つ。





伊豆急8000系の先頭化改造車は他事業者に売却されずに解体されたクハの運転台周りの部品を流用しているそうで、
このモハ8151は唯一8000系の1次車クハ(車番失念…)が部品の供出元になっています。

そのため、8000系1次車の特徴である縦ヒンジのヘッドライトケースを引き継いでおり、
インドネシアに渡った8003Fが亡き今、8000系1次車の姿を伝える貴重な車両となっています。
先頭改造車の幌枠形状が1次車に近いこともあり、識別灯がおでこについていれば、かなり雰囲気が出るのではないでしょうか。
いつまでもこの形態で走ってほしいものです。


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以上、伊豆急8000系をややマニアックな視点で観察していく、乗車・撮影録でした。
またこのような団体列車に乗車するような機会があれば、同様に記録していこうと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

(2025.11.9)