乗降ドア色差しのススメ

Nゲージを購入状態から加工する第一歩目の作業として、
屋根の塗装、インレタの貼付、行先シールの貼り付けなどがありますが、
両開きの通勤電車の加工においては、特にリアリティを求めるのであれば、
乗降ドアの戸当たりゴムの色差しは必須であると思っています。


色差し前(上)、色差し後(下)の比較。その差は一目瞭然です!

ところが、単純に色差しをすると言っても、色々な方法があると思います。
私が今まで数多くの車両の戸当たりゴム表現に用いてきたのは以下の4つの方法で、順にご紹介したいと思います。

①リアルタッチマーカーティッシュ
②ガンダムマーカー極細
消しゴム
③ポスカ
綿棒
④車番インレタ


①リアルタッチマーカーティッシュ

【使用車両】大多数の車両

最もよく用いているのが、クレオスから発売されているリアルタッチマーカーです。
水性のため、においもなく大変扱いやすいです。
色は何色かあるようですが、基本的に黒しか使っておりません。
グレータイプがもう少し白よりだと、③の代用ができるのですが…

作業も非常にシンプルで、ドアゴムの溝をペンの太字側で塗る作業を1ドアずつ順に行っていきます。
塗るときのポイントとしては、なぞるというよりも、若干ペンをボディに押し当てて塗料を滲み出し、ポンポンと塗料を乗せる、というイメージです。

車両の片側のドアすべての箇所に墨入れ完了したら、完全に乾く直前のちょうどいい頃になるので、
今度は塗ったのと同じ順番にティッシュで各ドアのはみ出た部分を拭き取っていきます。
ティッシュでぬぐい切れない分は指でこするのも有効です。

また、戸当たりゴムのモールドが浅めな車両では上記タイミングでは塗料が乗り切らない時もあるので、
拭き取るタイミングを変えてみるのも手です。
例えば、

海側側面塗布→山側側面塗布→海側側面除去→山側側面除去

といった両面同時並行スタイルにすると、乾燥時間が確保できてうまく固着しや少なります。

注意点としては、固着すると塗膜がかなり強固になる塗料なので、水で濡らしてもなかなか落ちないことです。
落ちなくなった時の緊急策として消しゴムで消すというのもありますが、再度同じ箇所を塗りなおしてティッシュでぬぐうときに、
塗料がボディにこびりついて落ちなくなりますので、お気を付けください。

また、つや消し塗装への使用はお勧めできません。
つや消しの塗装に墨が馴染んで、ティッシュでのふき取ってもボディに黒ずみが残ってしまうためです。(これを知るまでに時間がかかりました…)


KATOの東武8000系は、ボディ自体はつやありですが、帯部分がつや消しなので、①のやり方はお勧めできません。

①が使用できないときの代替案が、②になります。


②ガンダムマーカー極細消しゴム

【使用車両】KATO製東武8000系、鉄コレ東武8000系、GM製西武6000系、etc…

同じくクレオスから発売されているガンダムマーカーシリーズの、いちばん細い極細タイプを使用します。
色は、ブラックかグレーが無難かと思います。

こちらはリアルタッチマーカーのようにペン先から塗料がにじみ出ることがないため、
ペンで戸当たりゴムのモールドを色が変わるまで何往復かなぞります。

このペンは油性でティッシュでぬぐうのが非効率なので、完全に乾いた後に消しゴムではみ出た部分を消します。
①と②の大きく異なる点は、乾ききってから拭き取るか否かです。

消しゴムは、市販のもので構いません。少量の力でもよく落ちますので、こすりすぎに注意が必要です。
また、こすった後の消しカスがボディに付着したまま放置すると、ボディの塗装を侵す恐れがあります。

また、消しゴムを用いる際はガラスパーツ等クリアパーツはすべて外してからのほうが良いです。
力余ってクリアパーツをこすると、パーツが白濁する恐れがあります。
(上記の"恐れ"はTc10354がすべて経験済みです…)

こすった箇所はボディのつやが変わることがあるので、気になる方は仕上げにクリア等を吹くとよいかと思われます。


③ポスカ綿棒

【使用車両】TOMIX製201系、鉄コレ名鉄6000系、etc…

皆さまご存じ、三菱鉛筆が販売しているポスカです。
こちらの灰色が鉄道車両の白・グレーゴムと類似しており、違和感なく用いることができます。
手順としては、ポスカで戸当たりゴムを上からポンポン当てるように塗料を置いていき、表面が乾いたら余分な箇所を綿棒で拭く(撫でる)だけです。

綿棒は先が硬めのほうが良いでしょう。綿棒の腹ではみ出た部分を力を入れずともごっそり除去できます。

ポスカを塗布した箇所は②と同様つやが生じることがあるので、気になる方は仕上げにクリアを吹くと良いでしょう。

④車番インレタ

【使用車両】TOMIX製103系、etc…

急にインレタというワードが登場して、「?」となるかも知れませんが、皆さまご存じ、車番転写に使用するインレタです。
ただ、車番インレタといっても使用するのは車番ではなく、普段位置決めで使用しているラインのことです。
①や②でうまく塗料が乗らないモールドが浅い車両などは、そのそもの塗料を乗せるというアプローチを見直して、
こちらの方法を試してみてもいいかもしれません。

ちなみに、私が施工したTOMIXのHG103系カナリアは、塗料の乗りがすこぶる悪かったため、付属のインレタを使用し、ゴムの表現に挑戦しました。
色差しとそん色のない仕上がりになり、満足しています。


(2025.5.5)